1. 中国の大問題 . . . 2014 / 丹羽 宇一郎
総合商社・伊藤忠の会長から初の民間出身大使として中国に赴任したという経歴の丹羽氏による中国論。大使時代(2010-2012)に中国との協調路線を進めた事で国内世論から「中国寄り」と非難を浴びることの多かった丹羽氏だが、今もなお「日本の国益を守る」という観点から中国の重要性と危険性の両面について考察する。世界最大の14億という人口・ゆがんだ経済発展・政府高官による汚職・少数民族への弾圧など、今の中国が抱える大問題を、官僚出身の「職業外交官」とは違った民間外交の目線からレポート、世界第2位のGDPをバックに驕(おご)りを見せ始めた中国を、「恐れてはいけないが侮ってもいけない隣国」と定義し、彼らを「資する」ことを止め、「利する」戦略に転換することが重要であると主張する。
2. 誰も書かない中国進出企業の非情なる現実 . . . 2013 / 青木 直人
1980年代から始まった日本企業の中国進出は年々増加しており、「世界の工場」への期待と投資は拡大する一方。だがその実態は汚職と粉飾にまみれており、カネは出さずに要求のみを突き付ける・縁故者のみで利益を独占する・契約などお構いなし、という無法地帯。「波に乗り遅れるな」と進出した日本企業のビジネスの多くが既に破綻しているばかりか、撤退さえも許されないという蟻地獄に陥っている。中国の経済発展に大きな貢献を果たし、中国政府から「井戸を掘って水を出してくれた」とまで称賛された全日空やパナソニックなどの日本企業さえもが恩を仇で返されている状況なのだが、大手メディアがこれを公表しないのはトヨタなど中国で利益を上げている企業がスポンサーであるという単純な理由によるもの。チャイナリスクを声高に叫ぶ中国ウォッチャーの青木氏が、法治国家ではなく法よりも血縁・縁故が優先する「人治国家」に進出する怖さを思い知らせてくれる本書は、前項の丹羽氏を始めとする歴代の中国大使の朝貢外交をも厳しく批判し、日本企業に中国ビジネスからの早急な撤退を迫る。
3. 迫りくる日中冷戦の時代 . . . 2012 / 中西 輝政
米ソ冷戦の終結後、長らく「世界の警察」として君臨していたアメリカがその旗を降ろすと、膨張を続けてきた中国が世界の脅威となり始めた。2010年には中国の不法漁船が日本の海上保安庁の巡視船に衝突するという暴挙を起こしたが、その2年後の2012年7月にはロシアのメドベージェフ大統領が国後島に上陸して実効支配をアピールし、さらに8月には韓国の李明博大統領が竹島に不法上陸する。実はこれらは中国の工作によるものであり、中国が率いる包囲網が日本の国土を脅かしていると警鐘を鳴らすのは保守派の論客・中西氏。1972年に日中間で国交正常化が実現したが、その友好関係は40年後の2012年に終わったと確信、今後は日中冷戦の時代に突入すると断言。事なかれ主義によって国を奪われつつある日本政府に警鐘を鳴らし、朝貢を続ける学者やマスコミを危険視して、今こそ中国に反旗を翻す時であると訴える。
4. 中国外交の大失敗 . . . 2014 / 中西 輝政
1989年の天安門事件で失脚したケ小平の跡を継いだ江沢民(1989-2002)・胡錦濤(2002-2012)が23年に渡って率いた中国は経済的・軍事的に史上稀(まれ)に見る成長と安定を遂げた。ところが次の習近平が政権を取ってからはアメリカやASEAN諸国との関係悪化・子飼いの北朝鮮の暴走などを招き、対日外交においては得意としていた靖国参拝や尖閣問題でも日本にイニシアチブを取られ、3年ぶりの2014年に開かれた日中首脳会談で微笑を浮かべる安倍首相を仏頂面で迎える習近平の1シーンが世界に配信された。「あの瞬間、世界は日本が勝利し、中国が敗れ去ったとを確信した」と語るのは、国際政治学者であり歴史学者でもある中西氏。「第一ラウンド」に完敗した中国が次に仕掛けるのは、情報戦による対日工作であると分析してしてさらに警戒を重ねる。本書の副題も『来るべき「第二ラウンド」に日本は備えよ』と、追撃の手を緩めない。
5. 中国はなぜ「反日」になったか . . . 2003 / 清水 美和 (よしかず)
1972年、佐藤栄作の跡を受けて首相となった田中角栄が中国を訪問し国交正常化を果たすが、それから30年後の2003年に両者の関係は微妙な状況となる。小泉首相の就任以来から3年連続に渡る靖国参拝に対する中国側の反発、瀋陽の日本総領事館での北朝鮮亡命者の強制連行に対する日本からの批難、さらには中国からの輸入食品による健康被害などがその原因で、双方の国民感情が大きく交錯した。その火種を点けたのは、1989年の天安門事件によって湧き上がる世論に危機を感じ、党への不満を国外に向けるために反日教育を広げた江沢民であると断じる。名古屋出身で、中日新聞(今の東京新聞)の香港・北京駐在員などを経た中国通のジャーナリストが、反中でも親中でもないフェアな目線から日中関係の過去と未来を冷静に捉えた一冊。
6. なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか . 2013/ 石 平 (せき・へい)
北京大学で哲学を学び、中国の民主化運動に参加していた1989年に起こった天安門事件を契機に、祖国を捨てて日本に帰化。現在は中国問題の評論家として日本で活躍する石平氏の邦名は石平太郎(せきへい・たろう)。2009年に民主党政権が進めた親中外交を「大いなる愚策」と断じる一方で、その後の安倍政権が中国を排除したTPPへの参加や、ロシア・アジア諸国との連携強化を真っ先に推進した決断を高く評価する。日本の長い歴史を振り返っても、邪馬台国の女王・卑弥呼が朝貢していた時代に比べ、中国の影響を排した大和朝廷の時代や遣隋使を派遣しながらも「脱中国」を宣言した聖徳太子の時代に日本は発展を遂げた。また近代においても、明治の文明開化で欧米と協調する一方で中国とは一線を画して発展した日本が、その後の満州進出により中国と関わったことで第二次大戦に突入する結果となったと考察、日本にとって中国とは「決して関わってはいけない国」と断罪する。21世紀を「中国抜き共栄圏」の時代と捉え、中国を排除したアジア・欧米との連携強化こそ「日本が進むべき道」と断言する。
7. なぜ中国はこんなにも世界で嫌われるのか . . . 2013 / 内藤 明宏
「電車など公共の場所で大声で騒ぐ」「トイレの順番に並ばない」「ゴミを勝手にどこでも捨てる」と、世界の嫌われ者とされている中国人。さらに国家ベースとなると「共産党が支配する汚職国家で、関わらない方が安全」「国際条約を守らず、尖閣諸島など他国の領土を自国のものと主張」....と、もう散々な評判で、シノフォビア【Sinophobia = 中国嫌悪】という言葉までが世界に広がっている。本書は中国でベンチャー会社を起業し、中国人の女性と結婚した著者が、豊富なビジネス経験に基づいて中国の正体と中国人の本質を解説した一冊。隣の国どうし仲が悪いのは、いわば世界の「お約束」なのではあるが、日本にとって中国はただ「嫌い」とった感情論ではなく、一歩進んで「駆け引き」する姿勢で新しい関係を持つべき相手と分析する。
8. 儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇 . . . 2017 / ケント・ギルバード
『世界まるごとHOWマッチ』などで人気を博したアメリカ人弁護士のケント・ギルバード氏。最近では保守派の論客として脚光を浴びまくっている。紀元前500年頃に孔子が唱えた儒教とは「礼を重んじ・人を愛し・年長者を敬う」といった教えで、これは現代の日本にも深く根付いている思想なのだが、中国においては1960年代に始まった文化大革命の頃からその肝心な「仁・義・礼・智・信」の5つが全て抜け落ち、極端な個人主義・拝金主義という方向に向かったと分析する。その結果、有りもしなかった「南京大虐殺」で日本を非難し、実際にあった「天安門事件」を無かった事にする傲岸不遜な言動によって世界の顰蹙を買っている今の状況を、「歪んだ儒教が国民性の基礎となった」ためとしている。この思想は韓国にも引き継がれ、これに北朝鮮を加えて「儒教の呪い」に支配された特亜三国と定義して、日本が取るべき対抗策を提言する。
9. 中国人の頭の中 . . . 2015 / 青樹 明子
高倉健、栗原小巻、そして山口百恵... 1970〜80年代生まれの中国人が憧れ、敬愛した日本人のイメージは多くの親日派を生み出したが、1990年代に最高指導者の江沢民が強力に推し進めた反日教育と、2000年代に国策として作られた数多くの「抗日ドラマ」によって洗脳が進んでいる。 北京で学び、中国各地のラジオ局で日本語番組のプロデューサーを務めるなど、中国で20年近く過ごしたノンフィクション作家が、現在の中国人が頭の中で描いている日本の、あまりにも現実とかけ離れた実態を明らかにし、彼らに向けて「正しい日本」を伝える方法を考える。
10. 品性下劣な中国人 . . . 2014 / 陳 破空 (ちん・はくう)
全くもって身もフタも無いタイトルなのだが、著者はアメリカに亡命した中国人。文化大革命で父を失い、天安門事件では民主化のリーダーとして共産党に対抗、2度の投獄を経てアメリカに亡命し、現在はニューヨークで人権活動を行う作家である。紀元前221年に始皇帝によって造られた秦王朝が初の統一国家となってから現在に至るまで、中国人は劣化の一途を突き進んでいるとし、今も世界で醜態を晒し続ける中国人を、「この世で最も信頼がおけず、最も頼りにならない民族」と切り捨てる。モンゴル・チベット・ウィグル族らを弾圧し、自らこそが優れた民族であると自称する「漢人」たちの無法ぶりが描かれており、彼らが世界中から嫌われる理由が良く分かる。