1. 日本人に生まれて、まあよかった . . . 2014 / 平川 祐弘 (すけひろ)
比較文化史の研究における第一人者で東大名誉教授の平川氏が、日本国民に向けて「格調高く 敷居は低く、小粒でもぴりりと辛く」との思いで書き記した日本再生への処方箋。日本に生まれた幸運と感謝の気持ちを胸に、教育・外交・歴史認識や国防など多くの問題に関して、反日野党や「マスゴミ」によるバッシングを物ともせずに、今後の日本のあり方について提言する。タイトルの「まあよかった」は、明治末期に満州〜朝鮮を視察した夏目漱石が帰国後に「余は支那人や朝鮮人に生まれなくつて、まあ善かつた。」と感想を述べた事からの引用。 愛国心に溢れた主張は、反日マスコミの捏造や偏向報道によって惑わされている日本人に「喝!」を与えてくれる。
2. 不幸な国の幸福論 . . . 2009 / 加賀 乙彦 (おとひこ)
東大の医学部で犯罪心理学と精神医学を学んだ経歴を持つ医師で、小説やエッセイなどを手掛ける作家としても活躍して日本の「文化功労者」にも選ばれた加賀氏による幸福論。終身雇用や年功序列という従来の「日本型システム」が崩壊し、若者が将来への希望を持つことが難しい今の日本において、その原因が、自ら不幸の種蒔きをする日本人の国民性にあると指摘する。筆者は本書の出版から30年近くを遡る1980年に「生きるための幸福論」(講談社現代新書)という著書を出しており、物質的に豊かになった日本人が果たして「本当の幸せ」を手に入れているのか、という疑問をずっと世に投げ続けている。
3. 新・堕落論 〜 我欲と天罰 . . . 2011 / 石原 慎太郎
戦前・戦後にかけて活躍した無頼派のマルチ作家・坂口安吾の「堕落論」は、敗戦直後の混乱で途方に暮れた日本人に、迷うことなく「生きよ堕ちよ」と語りかけ、明日への希望を示した名著。そこでは日本人の勤勉性・道徳性が謳われているのだが、同じ作家でもある石原氏の「新・堕落論」は日本人の劣化を憂い、人間としてまっとうな物の考え方を取り戻せと呼びかけている。戦後ずっとアメリカに守られ続けているという「幻想」ですっかり平和の毒に侵された日本は、もはや一人前の独立国としての自覚も気概も失っていると警鐘を鳴らす。押し付け憲法を粛々と守り続け、一字一句も修正出来ぬ民族の資質とは一体何なのか? 仮に日本が核兵器を持っていたなら北朝鮮による拉致や、アメリカかが仕掛ける経済戦争、中国による領海・領土侵犯などは無かったという主張は一読に値する。「平和がラブコールだけで達成されるなら安いもの」という強烈な遺言を、今の日本人は決して笑い飛ばすべきではない。(2022年2月1日没)
4. 立ち上がれ日本人 . . . 2003 / マハティール・モハマド
マレーシアの首相として1981年から23年間、「ルック・イースト」(東方の日本に倣え)を唱えて国を率いた親日家のリーダー、マハティール・モハマド氏による「日本を元気にする処方箋」。2003年の引退を前に「アメリカのいいなり」となっている日本に贈った叱咤激励のメッセージには、「国を愛する」ことへの熱い想いが込められている。医師としても活躍した経歴を持つマハティール氏が「内科医的な手法」で祖国を再生させたように、かつて手本とした友好国である日本の復活を熱望して書いた一冊。92歳という高齢にも関わらず、現政権に異議を唱えて2018年に再び首相に返り咲いた親日家がかつて日本に送ったエールは今でも鳴りやまず、本書はそのまま今の日本人のための教科書とされるべきもの。
5. 日本人の甘え . . . 2016 / 曽野 綾子
保守派の論客として何かと物議を醸している曾野センセイが、60年以上連れ添った夫の三浦朱門(2016年没)を自宅で介護する中で書いた本。「失われた20年」によって失速する今の日本において、仕事や子育てから国際的な人道問題などに対する政治やマスコミの姿勢が、この国を間違った方向に導きかねないと警鐘を鳴らす。その本質が、戦後の経済成長の恩恵にどっぷり浸かった今の日本人の「甘え」「思い上がり」そして「カン違い」にあるという意見には妙に納得させられる。ただ内容の大半がご自身のアラブ・アフリカそしてインドにおけるNPO活動のエッセイのようなものなので、読者にはタイトルの結論を急がずに読む寛大さが求められる。
6. 劣化する日本人 . . . 2014 / 香山 リカ
記者会見で「バカ!」と叫ぶ政治家、白昼の公道で「死ね!」「殺せ!」とヘイトスピーチを掲げる人々、LINEなどの交流サイトでつながって、「性犯罪」「いじめ」「自殺」に走る若者たち... 今の日本では、勤勉で礼儀正しく誠実といったかつての「美徳」が崩壊していると精神科医の香山センセイが分析する。2012年に犯人がインターネットの掲示板に他人の名前で襲撃や殺人などの予告を行ったサイバー犯罪や、2014年に発覚した「日本のベートーベン問題」などを例に挙げ、「今だけ金だけ自分だけ」の欲望に侵され劣化してしまった日本人を危険視する。ただ極論に走り過ぎて少し現実離れした内容となっており、アマゾンの読者レビューでは最低ランク(星1つ)が70%と手厳しい。まぁ香山センセイはそんな批判なぞ気にするタイプの人ではないけど。ちなみにセンセイのペンネームは、半世紀以上のロングセラーであるタカラトミーの大ヒット商品・「リカちゃん人形」の本名 “Licca Kayama”から。フランス人の音楽家である父と日本人デザイナーの母の間に生まれたハーフという事であるが、それをペンネームにしてしまう勇気と厚かましさには脱帽。最近では左巻きの活動家としてあちこちで炎上しており、何やらどこかで道を踏み外した様子。
7. 炎上上等. . . 2018 / 高須 克弥
同じ医師という職業でありながら前項の香山センセイとは真逆の立ち位置にあり、ツイッターでも激しいバトルを展開しているのは“Yes! 高須クリニック”でお馴染みの高須院長。保守派の論客として知られる「かっちゃん」が、自身のツイッターに噛み付いてくる「獲物」たちに対して宣戦布告。日本の防衛を熱く語る一方で、中国・韓国に対しては歯に衣着せぬ「正論」で挑むその姿からは日本を愛する心意気が滲み出てくる。
8. 決定版 日本人論 . . . 2016 / 渡部 昇一
戦後日本の言論空間に風穴を開け、「知の巨人」と称された英語学者の渡部氏(2017年没)による日本人論。日本にとって最大の国難とは、敗戦ではなく、戦後のアメリカによる占領政策によって日本人としての誇りを失った事であり、それが今でも続いている事であると指摘する。だがそんな逆境にもかかわらず、古来から引き継がれた「不変の力」、そして神道と仏教を絶妙に融合させた「宗教観」、さらには一国だけで一文明を持つという他には類を見ない「日本民族」など、日本人だけが持つ「強み」を解説しながらこの国のあり方を指し示す。柔軟に対応する能力、道義・道理を重んじる精神などを持つ日本人が、日本人としての誇りを取り戻すための一冊。
9. 本気で言いたいことがある . . . 2006 / さだまさし
日本の吟遊詩人・さだまさしが語る「どこかおかしいこの国の今」。どうやら大切な所で道を間違えてしまった祖国に、何とか元に戻って欲しいという強い気持ちを込めた「遺言」とも言える書。家族・教育・宗教そして義理人情など、戦後の日本で失われつつある「正しさ・美しさ」を呼び起こし、日本人の生命(いのち)そのものに「立ち直れ、頑張れ!」と熱いエールを送り続ける。日本記録の4,000回を超えるコンサート活動を通じて全国各地を行脚し、軽妙なトークと「生命」「心」「時間」という3つのテーマを追い続ける珠玉の名曲たちは世代を問わず多くの人々の心を震わせているが、この一冊はそんな彼の命の叫びに他ならない。コンサートと同様、ユーモラスなタッチの中にも「まっさん」の熱い想いが込められている。
10. 21世紀の日本最強論 . . . 2015 / 文芸春秋・編
1991年のバブル崩壊、1995年の大震災、そして2001年に始まった「聖域なき構造改革」、さらには2008年のリーマンショックによる倒産ラッシュと、日本の「失われた20年」の終わりに際して2011年に再び起こった大震災...。その後もリストラ・格差社会・少子高齢化などのニュースが日常的になり、明るい未来が一向に見えてこない。だがそんな中、この国を覆い尽くす悲観論にNO!を突きつけたのが本書である。日本経済の「質」を世界最高と言い続ける経済学者の福島清彦による『衝撃の国連レポート・世界一豊かな日本』、科学ジャーナリストの馬場錬成が明かす『ノーベル賞量産の秘密』、法学者の河合幹雄による『世界で一番安全な国』等々の主張は、自信を失いつつある日本人に元気を与えてくれる。世界最強のアメリカが揺らぎ、中国の経済成長にも翳りが見える今、世界が不安定化の危機に直面している。今こそ日本社会の安定性と外からのインパクトを素早く取り込む吸収力を自覚し、その底力をフルに生かす時である。